だれか理論的裏付けの研究を
 最後に、研究者へのお願い。ここで紹介した「無防水コンクリート工法」が一般化すれば、現在のマンションが抱えている“10年ごとに屋根防水やり直し”というナンセンスな悩みは解消する。それには、私がこれまで山勘でやってきたことを理論的に解析して、スラブ厚,配筋量,スランプ,コンクリートの調合などのほか、温度変化,収縮量などの諸要素も含めて、最終的には「この条件を守れば、何m×何mまでの大きさの屋根板にはクラックがはいらないはずだ」というグラフかリストを作る必要があるだろう。そしてこの理論値を追っかけて実大実験をいくつかやり、理論値の修正を行えば、申し分けないと思う。
 残念ながら私は実務家なので、どなたかこのような実際的な研究をやって下さる方がいらっしゃらないかと考えている。非常に有意義で世のため人のためになる研究と思うのだが、名乗り出て下さる方のあることを願っている。
●無防水コンクリート工法の施工例
「海内工業横浜事業所本館」。昭和60年竣工。SRC造・3階建て。延べ面積807平方メートル。
「新栄マンション」。昭和61年竣工。RC造・」4階建て。延べ面積421平方メートル。
(関連記事:日経アーキテクチュア 1986年2月10日号「コンクリート問題改善への井上試案」
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