■3)案 柱をそっくり取り替える方法
この案はコアブロック廻りが本件建物鉄骨の欠陥の集合個所であり、この欠陥集合部分を現場で直そうと思っても、結局、1)案、2)案のように実行不可能との結論に達してしまう。そこで、この欠陥の巣をそっくり取り去って、欠陥のない安心出来るものと取り替えようという案である。そして、柱1本ごとにR階、3階、2階、柱脚と4つの巣を抱えているから、柱ごと取り替ることを考える。そのためには、各階の通しダイヤフラムから2方向或いは3方向に突き出ている大梁受けのブラケット(ここまでの文章では梁端部という表現をしてきたが、実は梁端部ではなくて大梁接続用のブラケットと称すべきであった。故にここで表現を改める)ごと取り替えようという案である。そのためには、図3)−1の3階梁伏図に斜線で示してあるところの床及び天井をはがせば、梁とブラケットのジョイント部が現れるから、そこのボルトを取り外してしまえば図3)−3に示すように、柱とコアブロックとブラケットが1セットになって取り出せる。勿論、邪魔になる外壁ALC版は予め取外しておく必要がある。但し、いきなり柱を取り外せば建物が崩壊してしまうから、まずは図3)−1の3階梁伏図に●で表示してある位置に仮設支柱を立てなければならない。そして、この仮設支柱がふらふらしないように支柱同志をX方向Y方向とも仮設ブレースで固める必要がある。
信頼できる鉄骨工場において、6本の柱を設計図の通りに正確に作り上げておいて、これらを現場に運び込み、例えばA−2の柱を取り去ったら、すかさず新しい柱を挿入して、ブラケットの先端と大梁の端部とを高力ボルトで接合し、次にB−2の柱も同様に取り替え・・・・・・と言うふうに6本の柱を順次に取り替えていく。
この方法によれば、確かに欠陥の巣窟は一掃出来る。しかしそのためには、仮設支柱7本を建てて、その支柱同志をブレースでしっかりと固めなければならないが、この仮設支柱と仮設ブレースのみで柱全取り替え工事の安全を確保できるかどうか、危惧されるところである。のみならず、この仮設支柱と仮設ブレースのために内装材が殆ど全部ダメになる可能性がある。
3)案 補修工事のために外壁と床を除去する範囲

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